年別アーカイブ: 2017年

【リトアニア】カウナスの新バスターミナル完成

改装していたカウナスのバスターミナルが完成したようで、いくつか写真が載っていました(記事はこちら)。

それによると、新ターミナルには21のプラットフォームがあり、従来の対面型の切符売り場に加えて、リトアニアでは初めて切符の販売機を設置。また、遠隔地からもアクセスができるそうです。200台収容の地下駐車場や、駐輪場が完備されている… などとあり、リトアニアだけでなく東欧地区で最も近代的なバスターミナルであると謳っています。

工事には900万ユーロを費やし、総面積は13,200平方メートル、一日当たり10,000人以上の利用があり、700を越える都市間、国際バス便があるそうです。

昨年開業した新宿のバスターミナルのオープン1ヶ月の利用者は、一日あたり約20,000人、便数は約1,200だそうで(国土交通省の資料による)、それと比べるとそこそこ健闘しているように見えます。別の資料では新宿のターミナルの敷地面積は1.47ヘクタール(=14,700平方メートル、ただし2階の人工地盤の面積だそうでバスの発着は3階と4階で行われていることを考慮する必要はあります)、停車場15バースとのことなので、かの地の規模感が推し量れます。

カウナスはヴィリニュスから鉄道で往復したことがあるのですが、バスで訪れたことはなく、バスターミナルがどこにあるのかも知りませんでした。丘と川に挟まれた小さな町だった記憶がありますが、それなりに人の往来があるのでしょう。

ポーランドのワルシャワから、バルト三国を経由してフィンランドのヘルシンキに達する高速鉄道の計画があるらしいのですが、バルト新幹線ともいうべきその新しい路線は、リトアニアの区間ではカウナスを経由するそうで、完成の暁には、さらに交通の要所としてのポジションを強化することになるのかもしれません。

【ラトヴィア】家系図作成サービス

日本でも家系の調査、あるいは家系図の作成を請け負うサービスがありますが、ラトヴィアでも同様の調査をしてくれるという記事です。

国立公文書館という、カチカチのお役所?が、70ユーロの調査費用で調べてくれるそうです。家族の姓、名前、出生届、婚姻届、死亡届といった、対象を特定する情報を提供する必要があります。期間的には6-12ヶ月、場合によってはそれ以上かかるとはいえ、1万円以内で引き受ける、というのは安い感じがします。

日本では家系図作成ソフトというのもあるようですが、サービスの場合は費用数万円からあるようで、片親のみ、両親、配偶者の家系も含める、などのヴァリエーションによって価格設定がされているケースが多いようです。多くのサービスは、明治時代の戸籍を調べることにより、200年くらいの過去であれば比較的容易に作成ができるようなことを謳っています。このほかにも家紋や寺の過去帳、古文書を調べるなど、探偵まがいの調査を行って、さらに古い先祖探しをするところもあるようです。ラトヴィアの場合はどこまでさかのぼることが可能なんだろう?

自分の先祖は誰なのか、どこから来たのか、といった思いは洋の東西を問わないと、記事を見たときは思いましたが、ラトヴィアの場合は、言語的にも民族的にも異なる周囲の大国のはざまで翻弄されてきた歴史があり、家系のとらえ方も知識的興味の側面が強い日本とは違って、アイデンティティが重視されているのではないか、家系図というより血統書のような意味合いがあるのではないかと、かの地の人たちの発想を考えてみました。

【ラトヴィア】森林墓地

まだまだ利用可能な土地が豊富な印象のあるラトヴィアですが、墓地の不足が危惧されているのは同じと見えて、「森林墓地」なるものを新たに作り、そのできばえを市議さんたちが視察にきた、との記事がありました。

記事によると、リガ郊外で新たに切り開いた土地に、1区画に4つの骨壷が収められる、2~5階建ての安置施設を11建てたそうです。区画は全部で288あり、この3月から納骨が可能になるとのこと。

現在の墓地需要のペースで行くと、あと10年か15年で墓地スペースがいっぱいになってしまう、との見積もりの上で、こうした事業が進められている、とありました。

日本でも、敷地の上に墓石を立てる、昔ながらの墓地の形ではなく、寺院の建物の一角にまるでロッカーのような外見をした墓地?を設置しているところがあります。一種の納骨堂なのだろうけれども、古い人間としては違和感を禁じえない。もっとも墓参や維持管理をする立場であれば、負担が少ないのは明らかなので、これも現代的な風景といえます。

記事の写真を見ると、ベンチや遊歩道もあって、高い木々に囲まれた森の中の墓地というより、明るく切り開かれた公園といった風情です。日本の場合、納骨スペースは室内にあることが多いようですが、ここは鳥小屋か養蜂のミツバチの箱のようなたたずまいをしています。ガラス窓が空を映し、氷をイメージしているようなオブジェにも北欧の香りを感じるのですが、出入り自由なのだろうか、壊されたり、いたずら書きなどされないだろうか、などと下世話なことを考えてしまいます…

かの地の埋葬事情はよく知りませんが、リガ市では毎年、7,000人の埋葬が行われるらしく、そのうち約10%の遺族が火葬を希望するそうです。言い換えれば埋葬の大多数は従来型の埋葬施設を必要とするわけで、このあたりにも日本の事情との違いがうかがえて、興味深いものがあります。

 

【極東シベリア】千島列島で命名された島

先日、ロシアが千島列島の無名島に名前をつけた、との報道がありました。

ユジノサハリンスクの新聞で、本件に関して3つの記事を見つけました。

一つ目は2月12日の地元の速報記事のようで、千島列島の5つの島に命名したとして、島名にしたらしい5人の名前を挙げています。ロシア地理協会サハリン支部というところが音頭をとって決めたそうです。

二つ目はモスクワの中央紙引用で、こちらは多少詳しく書いてあります。千島列島の地理的な説明に始まって、今回対象になった島々へのかかわりのいきさつ、命名された人のプロフィールなどが書いてあります。ただし、最初の地元速報記事とは、人名が少し異なっています。

三つ目は地元紙が、今回の命名に対して日本政府が抗議した、と伝えるものです。内閣官房長官が、外交ルートを通じて抗議した、と記者会見で述べた、と書いてあるだけ。

島の名前に割り当てた人とは、地元記事によると、デレビヤンコ、グロムイコ、ファルフトディノフ(Фархутдинов)、グネチコ、シェティニナの5人。中央紙のほうはカピッツァ、ファフルトディノフ(Фахрутдинов)、グネチコ、グロムイコ、シェティニナ、デレビヤンコの6人の名前を挙げていて、ちょっと訳し切れていないのですが、グロムイコとシェティニナは連名で名づけられたのかもしれません。

島の場所については、最初の3人の名前がつけられたのは、色丹島の近くである、と書いてあるだけ。グロムイコとシェティニナにまつわる島については、得撫島の北にある、と読めます。最後のデレビヤンコ島はアヌーチナ島の北東端、ペチャリヌイ岬の近くにある、とあります。アヌーチナ島とは、日本では秋勇留島と呼ばれている島です。面積は200平方メートルだそうで、15メートル四方くらいしかない?

カピッツァというのはロシアの物理学者、シェティニナさんは世界初の女性船長だそうで、オデッサからカムチャツカまで船を指揮してやってきたとのこと。ファルフト…って綴りが違っているのですが、この人はかつてのサハリン州の知事さんで、乗っていたヘリコプターが墜落して遭難した人です。グロムイコはソビエト時代の政治家。知事さんはともかく、ほかの人は千島とのつながりが読めない。

さて、あとの2人は第二次世界大戦の対日戦関係者です。グネチコはソビエトの軍人で、占守島の戦闘などを指揮して、千島の占領に当たった。デレビヤンコもソビエトの将軍で、日本の降伏文書の調印に際しては、東京湾上のミズーリ号の上で署名している写真が残っています。

でもデレビヤンコさんは、対日戦の現場で実際にドンパチしたわけではないだろうし、まして千島とは無関係のはず。グネチコさんは確かに島伝いに南下してきましたが、得撫島で引き返し、南部千島は樺太からやってきた部隊が占領したはずです。

となるとこの命名は、歴史的な事跡に基づくというより、政治的なメッセージであるとしか見えない。先の地元紙には、地理協会の支部長さん?のコメントとして、1945年の日本の降伏によって、この島がロシア地図に登場した、その降伏調印にかかわったのがデレビヤンコ将軍だ、といった文章があり、今回の発表の意図がうかがい知れます。

 

【一般記事】海氷面積が最小を記録

アメリカの国立氷雪データセンターなるところが、世界の海氷面積が今年の1月と2月、観測史上最低になったと報じた、との科学読み物がありました。

それによると、今年1月の北極圏の海氷面積は1,338万平方キロメートルで、これまで最低であった、昨年よりもさらに26万平方キロ減少しているとのこと。日本の国土面積が37万平方キロなので、そのスケールがわかりますね。

記事によると、海氷の現象は北極だけでなく、北半球の2月が夏の終わり、3月が秋の始まりに当たる南半球でも、この時期、氷の融解があるので、このような記録を招いた、としています。

根拠がよくわからないのですが、海水面の上昇という点では、海氷の融解はそれほど危ないものではなく、むしろ南極やグリーンランドなどの、陸地の雪氷が溶け出すほうが危険である、としていて、海氷面積の減少は地球温暖化や気候変動に大きな影響を与える、と警告しています。

元ネタと思しき、研究所のサイトの記事を見つけました。極周りの気温の上昇に関して、記事の文章には間違いがあるようにも読めるのですが、自分の和訳能力の問題でしょうか。研究所のサイトのほうには北極海の海氷分布図が添えられていて、ちょっと離れた形でオホーツク海の流氷が北海道に達しているのが見えます。

 

【ラトヴィア】レジ袋を使い続けるか

環境問題への取り組みは、日本に比べると欧州は厳しく、ラトヴィアも例外ではないようです。

表題の記事は、専門家の解説のような形をとっていますが、海洋投棄による動植物への危険性、有害物質の蓄積による人体への影響など、主に環境汚染を切り口にした啓蒙的な内容です。レジ袋にまつわる問題にはほかにも、石油資源の消費とか、焼却による二酸化炭素の増加といった側面があると思うのですが、そうしたテーマには触れていません。

使用量の削減と並んで、材質の改善や素材の見直しなどの現状が書かれていて、日本の3Rとはちょっと趣が違うように感じました。

日本では、2002年に日本ポリオレフィンフィルム工業組合が算出した、約300億枚(=約25万トン)という数字が、レジ袋の使用量とされてきました(参考:環境省ホームページ)。記事を見るとEU全体で年間162万トン(記事中の画像の中には、1,000億枚とあります)、ラトヴィアではこのうち3,050トン、300万枚が使われている、とあります。ラトヴィアの人口は200万人くらいであるし、日本やEUの割合からすると、枚数が少ないようにも見えるのですが、数え方が異なるのかもしれません。

写真では青色のレジ袋が写っていますが、そういえば海外の袋はこんな感じで色つき、透過度も高かったような気もします。

 

【ノルウェー】バレンツ海のズワイガニ漁

ラトヴィアの漁船が、ノルウェー北方海洋上にある、スヴァールバル諸島付近で違法操業の疑いで拿捕されたらしく、それに関連して、バレンツ海におけるズワイガニ漁の記事が載っていました。

内容は、現時点での漁獲高がいくらであるとか、市場価値がどうのこうのとあるのですが、あまり深く分析してはおらず、一方でイギリスやオランダが興味を示している、付近の石油やガス田がその背景にあると、いささか週刊誌ネタのような筆致になっています。件の拿捕漁船に至っては、ノルウェーのキルケネス港に係留されて、ラトヴィアの農業省と外務省が対応にあたっていると書いてあるだけです。

ところで、ズワイガニといえば、日本ではポピュラーですが、欧州でもそうなのかしらん? と気になったので、少し調べてみました。まず、ズワイガニの前に、タラバガニのお話を。

タラバガニというのは、もともと日本海やオホーツク海を含めた北太平洋や、南米付近の深海に生息する大型蟹なのですが、何でもソビエトの時代に、カムチャツカから生きたまま輸送して、バレンツ海に放流したらしく、それが繁殖に成功して、現在はこの北洋の海でノルウェーとロシアが、漁業資源として捕獲しているのです。ズワイガニも、元来は北太平洋を生息地にしていたのですが、これも最近バレンツ海で獲れるようです。ただし、ズワイについては、バレンツ海に出現するようになったいきさつを明らかにした文献を、まだ見つけていません。

タラバガニは生息範囲を急速に広げていて、天敵がいないこともあってノルウェーの沿海では既存の生態系への影響が出ているようです。しかし海中の生物ということで対応が困難な上、タラバ自体が漁業資源として有望ということもあり、対策に苦慮している状況のようです。ズワイガニについては、今のところ、こうした環境問題を提起するまでには至っていないようですが、外来種であることには変わりはなく、今後の展開に注意したいところです。

それにしても、ズワイとかタラバとか、日常耳にして、年に何回か?食べたりはするのですが、正直違いがよくわかっていませんでした。タラバガニは蟹というよりヤドカリの仲間である、だから?カニ味噌はほとんどない、足の数も違う… など、あらためて勉強できました。

記事によると、ズワイガニ脚1kgが83ノルウェークローネ(1,138円)だそうで、日本に比べると安いように思えます。

 

【エストニア】新型フェリーの就航

バルト海の東端というのか、ロシアのサンクトペテルブルクへと続くフィンランド湾をはさんで、エストニアのタリンと、フィンランドのヘルシンキの、二つの都市が向かい合っています。

その間、80km程度の距離を、フェリー航路が結んでいます。所要時間は2時間です。

青森-函館間の津軽海峡フェリーの場合は、距離が約110kmで所要時間が4時間ですから、なかなかのスピードです。

自分はタリンからヘルシンキまで、この航路を利用したことがあるのですが、何よりも日本のフェリーとは段違いに違う、ゴージャスな船内設備に圧倒されました。

日本のフェリーというと、雑魚寝の二等船室があって、皆そこでごろ寝しているイメージがあるのですが、こちらはまるで豪華客船のような装いをしています。劇場のような広いラウンジ、吹き抜けの全面のガラス窓から、さんさんと陽光がふりそそいでいる。ロビーには、空港の免税ショップのようなきらびやかな専門店が並んでいて、スーパーと思しきコーナーもある… 貧乏なバックパッキングスタイルでうろうろしていると、ちょっと居心地の悪さを感じるくらい。

ところで、このほど、タリン-ヘルシンキ間に新型フェリーが投入されたそうです。記事の最後に船体のスペックが載っています。それによると、総トン数49,200トン、全長212.2m、全幅30.6m、巡航速度27ノット、乗船定員2,824名、総工費2億3,000万ユーロ などなど。

これを日本最大のクルーズ客船、飛鳥IIと比べてみます。こちらは総トン数50,142トン、全長241m、全幅29.6m、巡航速度21ノット、乗船定員872名。なかなかいい勝負していますね。

もうひとつ、津軽海峡フェリーのブルードルフィンはどうだ?

総トン数8,850トン、全長144m、巡航速度20ノット、乗船定員583名…

タリン-ヘルシンキ間でフェリーを運航している会社はほかにも、ストックホルムやリガとの間にも航路を持っていて、どこもその豪華な内装、施設をウリにしています。さすがは国際航路、といったところでしょうか。この地域を訪れるときは、船の旅も検討されてはいかがでしょうか。

 

【ラトヴィア】読書に関する調査

日本でも、本を読むか読まないか、といった世論調査がありましたが、同様の調査がラトヴィアでも行われていて、その結果が報じられていました

それによると、昨年12月の前半に、ラトヴィア全土から無作為抽出した18歳から74歳までの1,003人の回答者に対して、どんな本をよく読むか、と直接インタビューしたところ、41%が、本は読まないと答えたそうです。

この41%の詳細については何も語られておらず、記事はその後、現代のラトヴィアの作家の作品を読む人がどれくらい、古典的なロシアの作家の作品を読む人がどれくらい、何語で読むか、読み本はどこから入手するか、といった数字を並べています。21%の人は毎日少なくとも30分は本を読むそうで、53%の人は、過去半年に少なくとも1冊は本を読んでいる、と答えたそうです。5年前より読書量が増えていると答えた人は12%、逆に減っていると回答した人は50%とのこと。

100年後の読書習慣について回答者に予想してもらったところ、22%の人は今より多くなっていると答え、61%の人は現在ほど本には注意を向けないだろう、と否定的な見方を示しています。

冒頭あげた、日本の世論調査ですが、この中には「1ヶ月の読む本の冊数について」「読書量は以前に比べて減っているか、増えているか」といった、ラトヴィアの調査項目と似た質問があります。それによると、平成25年度では47.5%の人が1ヶ月に1冊も読まない、と回答しています。1ヶ月に1冊も読まなくても、半年なら何か手に取るのでは、と思えば、ラトヴィアの41%より文字離れが進んでいる、とは言えないかもしれません。逆に言えば、半数以上の人は1冊以上は読んでいるということで、期間のとり方に違いがありますが、割合的には過去半年に1冊は読んでいるラトヴィアの53%とどっこいどっこいかと。

一方、読書量が減っていると答えた割合は65.1%、増えていると答えた割合は7.4%(いずれも平成25年度)。設問が若干異なっていますが、数字的には日本のほうが、読書量の減少が進んでいるように見えます。

ラトヴィアの質問の詳細がわからないので、なんともいえないのですが、日本の調査は、読書量が減った理由や読書すべき年代、読書のよいところなどを尋ねていたりして、数字だけでない、定性的な回答が読めて興味をそそります。逆にラトヴィアの調査結果では、言語をきいていたり、読み本の入手先として、購入よりも図書館が多かったりして、なかなか国柄を反映している、と、面白みを感じたりしました。