年別アーカイブ: 2019年

【アイルランド】ホームレスデモ

人の身のまわりの衣食住は、社会で生きていくうえで大切な事柄ですが、中でも住まいの確保は重要です。
雨風や寒暖など、外界の自然環境から身を護る、食事をする、安心して眠る、くつろぐ場所としての家屋のあり方は、その人の人生観にも深く影響を与えていると思います。

アイルランドのダブリンで、いわゆるホームレスのデモがあったそうです。
この「ホームレス」という言葉、てっきり和製英語なのかと思っていましたが、れっきとした英語であるようで、文中でもしっかり homeless と表記されています。
記事によると、数千の市民が住宅問題の解決や学生寮の充実を要求して市内を行進し、終点で主催者側から何人かが演説した模様。

行進の様子や演説内容の詳細は省きますが、文中、いくつかの固有名詞や数字が出てくるので、確認してみます。

行進を主催したのは National Homeless and Housing Coalition なる団体だそうで、SNSなどで情報を流しているようですが、その活動や話題を扱った報道を、自分はまだ見出していません。

the Garden of Remembrance をスタートして、O’ Connel Bridge まで1時間強、デモ行進した、とあります。
以下のダブリンの地図で確認しますと:

スタート地点の the Garden of Remembrance は、祖国のために命をささげた愛国者を記念した公園です。
O’ Connel Bridge は、その南南東にある橋で、あいだの距離は2kmくらい。
東京でいえば、上野から浅草、渋谷から明治神宮といった距離感覚でしょうか。

演説の中に Jonathan Corrie なる人物が登場しています。
この人は4年前に、Leinster House と呼ばれる、アイルランド議会の議事堂の前の路上で死亡しているのが発見された、ご当地では有名なホームレスらしい。
演説者は、この伝説的なホームレスを引き合いに出して、”Garda stations” に寝ているものばかりがホームレスではない、と言い、議事堂の前で一生を終えた人への黙祷を呼びかけています。

この “Garda stations” ですが、”Garda” というのはアイルランドの警察機構のことで、警察官をそう呼ぶこともあるそうです。
組織の詳細や実態がよくわからないのでなんともいえませんが、”Garda stations”は、派出所ないしは警察署のような、職員の常駐・待機施設なのでしょう。
少なくとも “Garda” という名前の駅に泊まっている、のではありません…
日本の警察はどうなのか知りませんが、交番に一宿一飯をお願いして、全国を旅しているつわものもいるようなので、住処を失った人たちを保護することもあるのかもしれません。

Department of Housing, Planning and Local Government (住宅計画地方自治省?)によれば、9,724人が公設の一時施設(State-funded emergency accomodation)に身を寄せているとあります。
また別の報告として、ホームレスのうち、約8%は学生であるという、ちょっと意外な数字がありました。

これらがどこからの引用なのか、記事には詳しくは書いてありません。
調べてみたところ、同政府機関のサイトに、ホームレスの年次調査結果が載っていました。
その中で “Homelessness Report April 2019” によれば、18歳以上のホームレスは全国で6,584人(ダブリン市は4,401人)、うち男性が3,884人、女性が2,700人(ダブリン市はそれぞれ2,538人、1,863人)、18歳から24歳までが903人、25歳から44歳までが3,896人、45歳から64歳までが1,651人、65歳以上が134人となっています(ダブリン市はそれぞれ582人、2,647人、1,105人、67人)。
ただしこの6,584人の大多数は緊急避難施設や一時避難所などに身を寄せていて、支援の手のまわらないところで暮らしている人はほんのわずかということになっています。
また、高齢者層よりも、働き盛りの年齢層の割合が多い点、女性の比率がそれなりに高い点も興味深いところです。

日本では、厚生労働省がおこなった「ホームレスの実態に関する全国調査」があります(調査結果はこちら)。
平成30年1月の調査では、ホームレスは全国で4,977人、うち男性が4,607人、女性が177人(このほか不明が193人)いるとされています。
ただし、この調査は、公園や地下通路、橋の下などで、テントやダンボールでこしらえた寝床で暮らす、いわゆる路上生活者を対象としていて、インターネット喫茶などを泊まり歩いている、いわゆるネットカフェ難民などの、ホームレス状態が顕在化していない人たちが含まれておらず、実態把握には不完全であるとの批判があります。

日本でホームレスといえば、どちらかといえば貧困や失業などによる、困窮の象徴の感がありますが、かの地では住宅問題として捉えているように思えます。
文面や写真などで推測する限りでは、地震や洪水などの災害で住む家を失い、避難生活を余儀なくされている被災者の姿が重なります。

Photo via Good Free Photos

【ラトヴィア】デカウサギ特集

犬は狩猟用や牧畜の管理用、あるいは警備用と、もともとは家畜として飼われていたわけですが、近年は愛玩動物、すなわちペットとして飼われているケースが大半と思われます。
こうした愛玩動物に対しては、親から生まれた個体を育てていくという飼育だけにとどまらず、品種を掛け合わせて新しい種類を作っていくといったこともよくおこなわれます。

ウサギももともとは家畜でしたが、欧州のほうではこのウサギを品種改良?して、体長70cmとか、体重7kgといった、大型の品種を作ることがおこなわれてきたようです。
ラトヴィアにそうした伝統?があったのかどうかは定かでないのですが、地元の新聞にウサギの特集記事がありました。

ベルギージャイアント、コーカサスジャイアント、ジャーマンビッグバタフライ、セントニコラスなどの品種ごとに、作られた年代、国、掛け合わせた品種、体長・体重・体格・毛並みの色などの説明があります。
大きなものになると、体長が65~72cm、体重は7kg以上に達するものもあるそうです。
ただし記事自体はこれらの説明文に終始していて、そうした品種が作られてきた背景や用途については触れていません。
他とは独立した記事のようで、何らかのイベントとの関連があるかどうかは不明ですが、保存や品種改良を目的とした団体や催しは、ご当地にもありそうです。

因幡の白兎の話があるように、日本列島にも古来から野生のウサギが住みついていました。
こうした在来種の系統や、どこからやってきたのかについてはよくわからないのですが、その中に日本白色種という白い品種があって、その大型の改良種の品評会が秋田県で催されているようです(案内の記事はこちら)。
リンク先のチラシを見てみると、イベントではこのほかに、日の丸鍋と称するウサギ鍋の試食や、デカウサギもとへジャンボウサギの販売も行われるそうです。

それにしても体重10kgのウサギって一体…

Photo via Good Free Photos