日本でも山間部やふもとの集落で、野生の獣類に出会うことがあります。
シカやサル、キツネ、カモシカといったところですが、たいていの場合は相手が人間を恐れているので、すぐに逃げてしまいます。
が、中には逆に人間に立ち向かってくるものがあります。クマやイノシシが代表選手です。
時折仕事で山に入った人が襲われて怪我をした、というニュースを見聞きします。
スウェーデンのネット記事を見ていたら、パンダみたいに目の周りにあざができた人が写っていました。
犬を連れて散歩中に、突然現れたヘラジカに襲われて、顎を強打され歯を折られ顔に大怪我をしたとのこと。
この事件に前後してもう一人、やはり犬連れで歩いていたときにヘラジカに蹴倒され、肋骨を折られ肺に穴が開くほどの怪我をした被害者の話が載っています。
この記事は、リンク先のいくつかのサブ記事をまとめたもののようで、それらを読んでいくと、事件のあったのはイェーテボリ(Göteborg)近郊のリンドーメ(Lindome)というところで、2つの事件のあと、警察から要請を受けた地元の猟師によって、ヘラジカが一頭射殺されたそうです。
ただし記事を読むと、バスの待合室にのこのこと入ってきたヘラジカを、恐れた人間が撃ち殺したようで、これが二人を襲ったヘラジカなのかは確かでありません。
確か日本でも、北アルプスの乗鞍岳の畳平で、バスターミナルに迷い込んだクマがパニック状態になって逃げ回り、ハンターによって待合室に追い込まれて始末されてしまった… といった事案があったような気がしましたが、こうしたカタストロフィに至る原因は動物側にあるのか、人間側にあるのか、よくわからなくなってきます。
ヘラジカというのは、北欧からシベリア、北米のカナダなどに分布する大型のシカです。
奈良公園のシカのように、大きな角を生やしているのですが、へらのような形をしているために、この名があるようです。
前述のヘラジカを倒した猟師の話として、この地方は果物がなるシーズンなので、それをお目当てにやってくるヘラジカと、人間が出会う機会が多くなっている、また人が連れている犬に、ヘラジカが神経質になっている、これが事件の背景ではないか、との推測を伝えています。
日本における獣害については、代表選手のクマ類による人身被害の実数が環境省のサイトに載っていました。
これによると毎年50名から100名くらい、多い年では150名ほどの被害者が発生していて、うち2~4名程度の死者も出ているようです。
クマ以外の動物による人的被害もあると思うのですが、資料を見出せていません。
その代わりではないですが、同じく環境省の調査結果として、その他獣類による農作物被害の文献を挙げておきます。こちらのトップはシカのようです。
シカというと人的被害というより、道路に飛び出してきて車と衝突するケースが多いように思いますが、
3ページの、農作物被害の円グラフから推察すれば、シカやイノシシ、サルによる、人への被害もあるのかもしれません。
10ページのグラフを見ると、クマ類による人身被害は年々増加傾向にあるようです。
Photo via Good Free Photos