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北の国々の暮らし情報、マスメディアの紹介、取材活動、調査結果のほか、周辺の出来事の雑多な記事を取り上げます

【ラトヴィア】レジ袋を使い続けるか

環境問題への取り組みは、日本に比べると欧州は厳しく、ラトヴィアも例外ではないようです。

表題の記事は、専門家の解説のような形をとっていますが、海洋投棄による動植物への危険性、有害物質の蓄積による人体への影響など、主に環境汚染を切り口にした啓蒙的な内容です。レジ袋にまつわる問題にはほかにも、石油資源の消費とか、焼却による二酸化炭素の増加といった側面があると思うのですが、そうしたテーマには触れていません。

使用量の削減と並んで、材質の改善や素材の見直しなどの現状が書かれていて、日本の3Rとはちょっと趣が違うように感じました。

日本では、2002年に日本ポリオレフィンフィルム工業組合が算出した、約300億枚(=約25万トン)という数字が、レジ袋の使用量とされてきました(参考:環境省ホームページ)。記事を見るとEU全体で年間162万トン(記事中の画像の中には、1,000億枚とあります)、ラトヴィアではこのうち3,050トン、300万枚が使われている、とあります。ラトヴィアの人口は200万人くらいであるし、日本やEUの割合からすると、枚数が少ないようにも見えるのですが、数え方が異なるのかもしれません。

写真では青色のレジ袋が写っていますが、そういえば海外の袋はこんな感じで色つき、透過度も高かったような気もします。

 

【ノルウェー】バレンツ海のズワイガニ漁

ラトヴィアの漁船が、ノルウェー北方海洋上にある、スヴァールバル諸島付近で違法操業の疑いで拿捕されたらしく、それに関連して、バレンツ海におけるズワイガニ漁の記事が載っていました。

内容は、現時点での漁獲高がいくらであるとか、市場価値がどうのこうのとあるのですが、あまり深く分析してはおらず、一方でイギリスやオランダが興味を示している、付近の石油やガス田がその背景にあると、いささか週刊誌ネタのような筆致になっています。件の拿捕漁船に至っては、ノルウェーのキルケネス港に係留されて、ラトヴィアの農業省と外務省が対応にあたっていると書いてあるだけです。

ところで、ズワイガニといえば、日本ではポピュラーですが、欧州でもそうなのかしらん? と気になったので、少し調べてみました。まず、ズワイガニの前に、タラバガニのお話を。

タラバガニというのは、もともと日本海やオホーツク海を含めた北太平洋や、南米付近の深海に生息する大型蟹なのですが、何でもソビエトの時代に、カムチャツカから生きたまま輸送して、バレンツ海に放流したらしく、それが繁殖に成功して、現在はこの北洋の海でノルウェーとロシアが、漁業資源として捕獲しているのです。ズワイガニも、元来は北太平洋を生息地にしていたのですが、これも最近バレンツ海で獲れるようです。ただし、ズワイについては、バレンツ海に出現するようになったいきさつを明らかにした文献を、まだ見つけていません。

タラバガニは生息範囲を急速に広げていて、天敵がいないこともあってノルウェーの沿海では既存の生態系への影響が出ているようです。しかし海中の生物ということで対応が困難な上、タラバ自体が漁業資源として有望ということもあり、対策に苦慮している状況のようです。ズワイガニについては、今のところ、こうした環境問題を提起するまでには至っていないようですが、外来種であることには変わりはなく、今後の展開に注意したいところです。

それにしても、ズワイとかタラバとか、日常耳にして、年に何回か?食べたりはするのですが、正直違いがよくわかっていませんでした。タラバガニは蟹というよりヤドカリの仲間である、だから?カニ味噌はほとんどない、足の数も違う… など、あらためて勉強できました。

記事によると、ズワイガニ脚1kgが83ノルウェークローネ(1,138円)だそうで、日本に比べると安いように思えます。

 

【エストニア】新型フェリーの就航

バルト海の東端というのか、ロシアのサンクトペテルブルクへと続くフィンランド湾をはさんで、エストニアのタリンと、フィンランドのヘルシンキの、二つの都市が向かい合っています。

その間、80km程度の距離を、フェリー航路が結んでいます。所要時間は2時間です。

青森-函館間の津軽海峡フェリーの場合は、距離が約110kmで所要時間が4時間ですから、なかなかのスピードです。

自分はタリンからヘルシンキまで、この航路を利用したことがあるのですが、何よりも日本のフェリーとは段違いに違う、ゴージャスな船内設備に圧倒されました。

日本のフェリーというと、雑魚寝の二等船室があって、皆そこでごろ寝しているイメージがあるのですが、こちらはまるで豪華客船のような装いをしています。劇場のような広いラウンジ、吹き抜けの全面のガラス窓から、さんさんと陽光がふりそそいでいる。ロビーには、空港の免税ショップのようなきらびやかな専門店が並んでいて、スーパーと思しきコーナーもある… 貧乏なバックパッキングスタイルでうろうろしていると、ちょっと居心地の悪さを感じるくらい。

ところで、このほど、タリン-ヘルシンキ間に新型フェリーが投入されたそうです。記事の最後に船体のスペックが載っています。それによると、総トン数49,200トン、全長212.2m、全幅30.6m、巡航速度27ノット、乗船定員2,824名、総工費2億3,000万ユーロ などなど。

これを日本最大のクルーズ客船、飛鳥IIと比べてみます。こちらは総トン数50,142トン、全長241m、全幅29.6m、巡航速度21ノット、乗船定員872名。なかなかいい勝負していますね。

もうひとつ、津軽海峡フェリーのブルードルフィンはどうだ?

総トン数8,850トン、全長144m、巡航速度20ノット、乗船定員583名…

タリン-ヘルシンキ間でフェリーを運航している会社はほかにも、ストックホルムやリガとの間にも航路を持っていて、どこもその豪華な内装、施設をウリにしています。さすがは国際航路、といったところでしょうか。この地域を訪れるときは、船の旅も検討されてはいかがでしょうか。

 

【ラトヴィア】読書に関する調査

日本でも、本を読むか読まないか、といった世論調査がありましたが、同様の調査がラトヴィアでも行われていて、その結果が報じられていました

それによると、昨年12月の前半に、ラトヴィア全土から無作為抽出した18歳から74歳までの1,003人の回答者に対して、どんな本をよく読むか、と直接インタビューしたところ、41%が、本は読まないと答えたそうです。

この41%の詳細については何も語られておらず、記事はその後、現代のラトヴィアの作家の作品を読む人がどれくらい、古典的なロシアの作家の作品を読む人がどれくらい、何語で読むか、読み本はどこから入手するか、といった数字を並べています。21%の人は毎日少なくとも30分は本を読むそうで、53%の人は、過去半年に少なくとも1冊は本を読んでいる、と答えたそうです。5年前より読書量が増えていると答えた人は12%、逆に減っていると回答した人は50%とのこと。

100年後の読書習慣について回答者に予想してもらったところ、22%の人は今より多くなっていると答え、61%の人は現在ほど本には注意を向けないだろう、と否定的な見方を示しています。

冒頭あげた、日本の世論調査ですが、この中には「1ヶ月の読む本の冊数について」「読書量は以前に比べて減っているか、増えているか」といった、ラトヴィアの調査項目と似た質問があります。それによると、平成25年度では47.5%の人が1ヶ月に1冊も読まない、と回答しています。1ヶ月に1冊も読まなくても、半年なら何か手に取るのでは、と思えば、ラトヴィアの41%より文字離れが進んでいる、とは言えないかもしれません。逆に言えば、半数以上の人は1冊以上は読んでいるということで、期間のとり方に違いがありますが、割合的には過去半年に1冊は読んでいるラトヴィアの53%とどっこいどっこいかと。

一方、読書量が減っていると答えた割合は65.1%、増えていると答えた割合は7.4%(いずれも平成25年度)。設問が若干異なっていますが、数字的には日本のほうが、読書量の減少が進んでいるように見えます。

ラトヴィアの質問の詳細がわからないので、なんともいえないのですが、日本の調査は、読書量が減った理由や読書すべき年代、読書のよいところなどを尋ねていたりして、数字だけでない、定性的な回答が読めて興味をそそります。逆にラトヴィアの調査結果では、言語をきいていたり、読み本の入手先として、購入よりも図書館が多かったりして、なかなか国柄を反映している、と、面白みを感じたりしました。

 

【北海道】流氷がやってきた

オホーツク海側の町、紋別で、「流氷初日」を観測した、というニュースが入ってきました。「流氷初日」というのは、流氷を陸から肉眼で確認できたことをいうらしく、早速砕氷船が流氷帯に突っ込んでいく様子がとらえられています。

自分は冬によく北海道に出かけていたので、紋別を始め、網走や小清水、標津などで流氷を見ました(ちなみに、アイキャッチの写真は、網走の東の北浜駅から北東方向を写したものです。ノロッコ号ってもう走ってないんでしたっけ?)。

しかしこの現象を見たことのない人には、「流氷」というのがどういうものなのか、見当もつかない人が多く、自分が流氷を見たことがある、というと、海の上を氷が流れているんですか、などと聞いてくる。

今回の報道では、ポテトチップみたいな形をした丸い氷が、クラゲの大群みたいに漂っていて、その中をかき分けて船が進んでいます。この程度であれば、まだ海水が見えていて、氷が流れている、という表現も当たっていると思います。

でも自分が最初に体験した流氷の風景はこんなものではありませんでした。

まだ紋別に鉄道が走っていた昔、列車待ちの時間を利用して、裏手の丘にある公園に上がりました。2月で街中も公園の中の坂道も雪が積もっていて、滑らないように非常な注意を持って歩いていくと、てっぺんに展望台のような建物がありました。その屋上から海の方向を眺めた自分は、思わず息を呑みました。

海には違いないが、普段見ている青というのか緑というのか、あの暗い色の代わりに、真っ白の雪原が広がっている。雪をかぶった紋別の町は麓に横に伸びていて、その先に平坦で、人工物がひとつもない、純白の新大陸がどこまでもどこまでも、まるでシベリアか、北極海のほとりにでもいるかのように続いていました。天気も快晴で、その真っ青な北の空と、真っ白に埋まった地表のコントラストは、今でも記憶に焼きついています。

なので自分には、流氷というと、広い海を埋めつくした白い氷原のたたずまいを連想してしまいます。砕氷船やアイスダイビング(氷の下に潜ってクリオネなどを観察する)などのアクティビティもいいですが、もし紋別に来て時間があれば、ぜひ山側の展望台に行ってみることをお勧めします。

 

【一般記事】113番元素

日本の理化学研究所が研究と実験を重ねた結果、合成に成功した113番の新元素が「ニホニウム」と命名されたことは、昨年報道されたとおりです。

ラトヴィアの新聞で、このニホニウムを含めて、新たに命名された4つの新元素に関するミニコラムが載っていました。すべて人造でアメリカとロシア、日本によって作られた、地名や人名にちなんで命名された、などと、簡単な紹介があるだけですが、ニホニウムについては、「太陽が昇る土地」を表す日本語を翻訳して名づけられたとあります。

地球上には日本を指して、日出る処の国、と説明するところがあるようです。欧州やロシアなど、日本から遠く離れた地域で聞くことがあります。遣隋使の小野妹子が隋の煬帝に渡した国書にあった文言でしたか。

自分としては、ニホニウムというのは日本という言葉に由来しているとしか認識できないし、では日本とは何か、と外国人に問われたら、それは国名である、と答えると思います。しかし、日の本(ひのもと)一のこの槍を~というように、自分たちの国を太陽の誕生の地とする表現もあるので、このコラムの記者の解釈も正しいのかもしれない。

国名の由来、国号の意味については諸説あるようですが、普段意識することもなかったので、異国の人の指摘に、なるほどと考えさせられた次第です。

 

【スウェーデン】松の梢ホテル

またしてもホテルねたです。

場所は特定されていないのですが、スウェーデンの北部に、TreeHotel なる宿泊施設があるそうで、その写真が新聞に載っていました。内容はどうということはないのですが、雪の森の中の一軒家というのがどうにもきれいで紹介する次第です。

樹上生活というと、ニューギニアかインドネシアかどこかで、似たようなたたずまいがあったような記憶もあるのですが、南国のワイルドなジャングルライフとはぜんぜん趣を異にした、ひたすら静謐さがただよう建物です。

地上10mにある部屋の、パノラミックな窓からは、ラップランドの森を見たりオーロラの眺めも楽しむことができる、とあります。面積は75平方メートルあって、5人収容。ベッドにソファにラウンジ、バスルームがあるそうで、写真をよく見ると、奥に小さいキッチンのようなものも見えます。風呂があるのだから、当然水道管がどこかに走っているはずだけど、ちょっとよく見えない。

これまで6つ TreeHotel をオープンさせてきたが、今回は7つ目で、一番地上高がある… と書いてあるようなのですが、誤訳していたらすみません。

前回のアイスホテルもそうですが、確かにきれいではあるし、家具も北欧調でセンスの良さを感じるのだけれども、冬を味わうのなら、雪と親しむのなら、吹き溜まりにテントでも張って、アウトドアを楽しめばいいのではないか… なんて考えている自分は単なる貧乏人ということですかね?

 

 

【ラトヴィア】アフリカ豚コレラ

現地のニュースをウォッチしていると、最近豚の写真を多く見かけます。アフリカ豚コレラなるものが流行していて社会問題になっているらしい。

農水省のHPなどで調べてみると、アフリカ豚コレラというのは豚といのししだけに感染する伝染病で、発熱や出血があり豚コレラと似ていて、致死率が極めて高いそうです。ダニが媒介するウィルス性の病気で、現時点では治療法もワクチンもなく、感染が確認された場合は殺処分するしかないらしい。

名前のとおり、元々はアフリカのサハラ砂漠以南で発生があったようですが、近年そこから遠く離れたバルト海から黒海にかけての地域で、ぽつぽつと感染報告が出るようになりました。先のHPにロシア周辺の発生状況を示した地図が載っていますが、ラトヴィアではかなりの数の報告があります。多くは家畜の豚ではなく、野生いのししのようですが…

日本ではこれまで、発生の確認がないそうですが、「豚コレラ」ならあったような気がします。豚コレラは2007年に清浄化を達成した、とありますので、それ以前には新聞をにぎわせるような事案があったのでしょう。

鳥インフルエンザについては、近隣の国で発生があったから気をつけろ、といった警告レベルのニュースを見ることがあります。鳥インフルは鳥から人への感染がまれにあり、衛生当局が鶏でなくても発生に神経を尖らせるのはわかるのですが、人にはうつらない豚の病気についての報道を、現地の人はどの程度のインパクトをもって見聞きしているのだろう。

土地が変われば病気も変わる。広い世界にはなじみのない病も多いのでしょう。豚というと、身近な食材でもあるので、ちょっと気になってしまいました。

 

【ノルウェー】オスロでディーゼル車の通行規制

中国で大気汚染対策として、車両の通行を規制することがあるようですが、ノルウェーのオスロで先日、ディーゼル車の通行規制が行われたそうです。

報道によると、朝9時から夜の22時まで、通院のためのタクシーなどを除いて、走行が禁止されるとのこと。

ラトヴィアの新聞なので、対岸の火事ということなのか、オスロにおける大気汚染発生のメカニズムだとか、市内には122,000台のディーゼル車があって、内72,000台が個人所有であるだの、罰金が1,500クローネだとかいった断片的な情報を小出しにして終わっています(ちなみに、1,500クローネというのは、本日の換算で20,342円くらいです)。

規制実施の背景とか、そのときの様子、混乱はなかったのか(バスとか営業トラックもダメなのかしらん?)、結果どうだったのか(今も規制は続いているのか、解除になったのか、汚染状況は改善されたのか等々)といったことは一切書かれていないので、だから何なのさ、といった不満が残るのですが、現地のニュースなどに当たってみると、天候が予想したほど悪くならなかったので、その日のうちに解除になってしまったそうです。協力する人もいればそうでない人もいたようで、環境問題というよりは、どうも政争の具になっているようにも読めました。

私事ですが、自分は20年ほど前に四駆に乗っていて、エンジンがディーゼルでした。ディーゼルというと大型車のイメージがあって、確かにガソリン車に比べると気持ちエンジン音がガラガラ響いてきたり、エンジンが切りにくかったりしたような記憶があります。それまでガソリン車では自分でプラグを掃除したり、交換したりしていたので、プラグのないエンジンを、興味を持って見ていました。当時軽油はリッター60円台で、今からすると信じられない価格ですね。

ディーゼルエンジンは、先年の排ガス規制不正問題以来、風当たりが強くなっているようにも思いましたが、この種の技術の採用には、日本とは異なる、かの地ならではの価値観があって、そのあたり興味を持って読みました。

【ラトヴィア】政党支持率

現地に「ラトヴィアン・ファクト」なる民間調査会社があって、消費者信頼度指数調査だとか、閣僚人気度などを毎月ウェブサイトにアップしているようです。

このなかに、「Party ratings」という調査があります。その名のとおり、議会を構成する政党に対する評価を集計したものです。ウェブ投票なのか、電話インタビューなのか、対面なのか、調査方法はよくわからないのですが、1,000人くらいを対象にした調査のようです。メニューをたどってゆくと、最新の結果を見ることができます。

pdfファイルをダウンロードして読んでみると、左上に質問が書かれています。直訳してみると、「もし明日議会の選挙があるとしたら、どの政党に投票すると思うか?」というところでしょうか。

これを政党支持率と呼ぶか?意味としてはそんな感じもしますが、投票するのと支持するというのは、ちょっと違うような気がします。支持政党だからといって投票するとは限らない。

日本だと、政党支持率を求めようと思ったら、「どの政党を支持するか?」という質問に対する回答を集計すると思います。一見すると、こちらのほうが合理的に思えますが、そもそも「支持」って何なのだろう?それは投票結果として明確に示されるものではないか?普段口先で盛んに応援していたとしても、投票箱の前での行動が、結局は態度の最終表明なのではないだろうか?そう考えると、この調査の質問は、遠まわしのような表現に見えて、実は支持の本質を突いているように思えてきました。

それにしても、「わからない/未定」といった選択肢のほかに、「投票しない」などという項目もあって、このあたりに向こうの人らしい、強い意思表明を感じたりしました。